本店を移転する際の注意点
本店を移転する際の注意点は登記費用と商号の問題があります。
起業する経営者は当初の本店所在地を自宅にするか、借りたテナントにするか迷っている方も多いでしょう。
会社の本店は手続きを行えば簡単に移転できます。
しかし、管轄の変わる移転の場合は、商号調査を再度行う必要や登録免許税が高くなるデメリットがあります。
将来的な本店移転時のことを考えて起業する際の所在地と名称を決めましょう。
本店を移転する手続き
本店移転の手続は現実に本店を移転した日の翌日から起算して2週間以内に法務局へ申請する必要があります。
費用や手続き方法は法務局の管轄内の移転か、管轄の変わる区域への移転かによって変わってきます。
また、代表者の自宅を本店にしていて、引っ越しを伴う移転をする場合は、代表者の住所変更手続きも一緒に行わないといけません。
本店移転手続きに伴う登記費用
同一区域内
登録免許税 | 3万円 |
---|---|
事前閲覧・登記事項証明書等 | 1,000円 |
司法書士報酬 | 3~5万円 |
郵送費用 | 1,000円 |
合計 | 6~8万円前後 |
区域外(法務局の管轄変更)
登録免許税 | 6万円(旧登記所分3万円、新登記所分3万円) |
---|---|
事前閲覧・登記事項証明書等 | 1,000円 |
司法書士報酬 | 4~7万円 |
郵送費用 | 1,000円 |
合計 | 10~13万円前後 |
代表取締役の住所変更手続に必要な費用
登録免許税 | 1万円 |
---|---|
司法書士報酬 | 5千円~2万円 |
合計 | 10~13万円前後 |
本店移転の必要書類
同一区域内
- 登記申請書
- 株主総会議事録(定款変更有の場合のみ)
- 取締役会議事録
- 委任状
- 株主リスト(定款変更有の場合のみ)
区域外
- 登記申請書
- 株主総会議事録
- 取締役会議事録
- 委任状(代理申請の場合)
- 株主リスト
- 登記申請書(本店移転先登記所用)
- OCR別紙(本店移転先登記所用)
- 印鑑届書(本店移転先登記所用)
同一区域内の場合は定款変更の有無によって手続き内容が異なってきます。
定款には最小行政区画である市町村まで記載すればいい内容になっています。
移転前の定款に書いてある所在地の内容と同じであれば問題ありません。
たとえば同一区域内で本店所在地を「東京都港区」と記載していて、同じ港区内で移転すれば定款変更は不要です。
地域によっては法務局の管轄が複数の市町村に渡っている場合があります。
管轄が同じでも〇〇市から△△市への移転や、定款に番地まで書いてある場合は、定款変更が必要になります。
定款変更するには株主総会の特別決議を取る必要があり、手続きをする際は株主リストの提出も必要です。
司法書士を利用しなくてもできる?
登録免許税だけで見れば同一区域内3万円、区域外は6万円です。
代表者が自ら法務局へ行って手続きすればできないことではありません。
しかし、申請と受け取りで最低でも2回は足を運ぶ必要がありますし、書類の不備があると申請だけで2回、3回足を運ばないといけないケースもあります。
仕事がなくて時間を持て余している場合は自分でチャレンジするものですが、司法書士報酬が3~6万円程度で申請だけではなく必要書類作成までサポートしてくれることを考えれば、司法書士を利用する価値はあります。
区域外への移転は商号調査を行う
起業する時は管轄区域内で同じ名称で同じ業種の会社がないか商号調査を行います。
管轄の変わる移転をすると、再度同じように商号調査をしないといけません。
場合によっては、移転を理由に商号を変えないといけないこともあるので注意しましょう。
移転を見据えて起業する場合は、法務局の管轄が変わっても他社と商号の被らないような名称にしておきましょう。